物語で「心理学」してみよう!!~美女と野獣~
☆ ☆ ☆ きょうはしし座流星群の日です♪♪♪ ☆ ☆
はじめまして。Hollyです。
このホームページをごらんのあなたはどんな方なのでしょうか?
ここでは、私の大好きな物語「美女と野獣」をベースに心理学で遊んでみようと思います。この物語は私にとっては、「自己嫌悪の克服」と「パートナーシップ」のバイブルです。(きっと今の私のテーマだからでしょうね。他の方から見たら他にどんなテーマが見えるのでしょうか?)
ともあれ、しばらくおつきあいください。
{登場人物}
- ◎野獣:
- 昔王子だったが、野獣に姿を変えられてしまっている。
- ◎ベル:
- 本が大好きな娘。いつも本に頭を突っ込んで歩いているため、町では変な娘 だと言われている。ふとした出来事から野獣の城で人質になる羽目になる。
- ◎ガストン:
- 町の荒くれもの。ベルに結婚を迫るが、野獣の存在に気づき、野獣を殺 そうとする。
- ◎お城の召使たち:
- それぞれ王子とともに道具に姿を変えられている。王子の呪いが解けないと、彼らの呪いも解けない。
王子は少年のころ、あまりに冷酷だったために魔女に呪いをかけられ、野獣にされてしまいます。愛し愛されることでその呪いは解け、人間に戻ることができるのです。
が、野獣はその呪いを解くことができないまま大人になります。野獣はすっかり絶望しています。西の棟の自分の部屋(この部屋は野獣以外誰も入れません。)にこもっては、魔女から残されたたった一輪のバラを見ながら
「もう呪いを解くなんて無理なんだ」
と言って落ち込みます。そして、呪いをかけたまま二度と現れない魔女と、それをどうすることもできなかった家臣たちに対するうらみつらみを山ほ持っていて、あたりちらしてしまいます。
★☆★☆私たちも同じようなことがあります。
「頭でわかっててもできない」
とか
「わかっててもやっちゃう」
とか。もう呪いにかかったような気になります。
「親の育て方が悪かったからだ」
なんて減らず口をたたいたり・・・で、自分の部屋にこもって落ち込むんですよね。☆★☆★
でも、家臣たちも野獣と一緒に呪いを受けています。王子が野獣に姿を変えられるのと同時に、家臣たちはそれぞれ道具に姿を変えられてしまいます。家臣たちが王子を甘やかして育てたことで、王子がわがままになって呪いを受ける羽目になったのですが、家臣たちはまるで王子の呪いが解けるまで自分たちの人生も取り戻さないことを自分たちの意思で約束したかのようです。ある種、家臣たちと野獣の関係は共依存にはまっています。でも、家臣たちは野獣の応援団でもあります。だから、王子が呪いを解く鍵をつかみかけたときには一生懸命後押しをしてくれるんです。
アニメ映画にはないのですが、ミュージカルにとても印象的なシーンがあります。
本の読めない野獣のためにベルが本を朗読してあげているシーンです。
野獣: |
「本がこんなに楽しいものだとは知らなかった。僕をどこかに連れ去ってくれる。すべて忘れさせてくれる。」 |
ベル: |
「忘れる?」 |
野獣: |
「僕が誰か、いや、僕が何かということを」 |
ベル: |
「私たち二人似てるわ。」 |
野獣: |
「えっ?(驚く。)」 |
ベル: |
「私の住む村ではみんな私のことを変わり者って言うの。」 |
野獣: |
「君が?」 |
ベル: |
「だから(自分は)人と違うっていう気持ちがわかるの。それがどんなに孤独かっていうこともね。」 |
★☆★☆私たちは
「自分が人と違っていて恥ずかしい」
「自分は人よりも劣っている」
と自分で勝手に思ってしまっているジャンルがいくつかあります。そんな自己嫌悪の部分は隠しておきたいと思います。人が聞いたら
「何それ?」
って全然問題にもされないようなこともあるかもしれません。
「私もジャンルは違うけれどそういうところがあるのよ。」
って返してくれるかもしれません。でも、怖いんです。
「自分で殺したいほど憎んでいる私のこの部分を他人に責められたらもう立ち直れない」
と思うからです。一方、この部分を相手が知ったとして、それでもかわらず自分のことを好きでいてくれたらこれほど嬉しいことはないですよね。逆にともだちのそんな部分を受け容れられる自分の幅も広げていきたいものです。☆★☆★
やっと、ベルと心が通じ合い始めた野獣ですが、次の選択を迫られます。ベルが時々浮かない顔をしているのです。
野獣は気になって尋ねます。
「僕といて幸せ?」
ベルは答えます。
「もちろんよ。でも、家にいるパパのことが心配なの。」
野獣は悩みます。もしベルを手放したら、また逆戻りだと思うからです。
「せっかく楽しい生活が送れるようになったのに。ベルを手放したら、2度と呪いは解けないだろう。もう時間はないんだ・・・」
結局、ベルの浮かない顔を見ていられなくなった野獣は、ベルに言います。
「もう、君は人質なんかじゃない。自由にしていいからね。」
ベルは喜んで野獣に感謝をして帰っていきます。野獣はもう最後の希望さえ失ってしまいます。
★☆★☆私たちはどのジャンルでも、一度うまくいった方法はなかなか手放せません。それがどんなに古ぼけていて、いまや使えない代物であっても、それにしがみつきます。以前うまくいったようにまたうまくいくかもしれないし、少なくとも(どれほどうまくいかないかは)予想がつきます。
ただ、ここには「ユデガエル」になる危険性をはらんでいます。
(カエルはいきなり熱いお湯につっこまれると跳んで逃げるけれど、カエルの泳いでいる水をどんどん熱していったときには逃げないで結局は死んでしまうのだそうです。)
自分のやり方のこだわりを手放して、なりゆきにまかせてみるのもひとつの方法です。この場合、野獣はベルを捕われの身にしている限りは、自分が愛されていることを本当には信じることができなかったでしょう。一度、ベルに選択権をゆだねて、それでもベルが自分の元に戻ってきてくれたときに本当に愛されていることを信じることができ、真の安らげる関係を手に入れることができたのです。☆★☆★
最後は、野獣の生の部分と死の部分の戦いとなります。
「その人に見えるものはすべてその人の投影である」
という心理学の原則をあてはめるならば、野獣を殺しにくるガストンは、野獣の
「もう自分ほど醜い奴は死んだほうがいい」
と思っている部分の象徴、野獣が助かるように祈るベルは、最後まであきらめずに呪いが解けることを信じている部分の象徴です。そして、ベルが愛を告白したときに野獣の身に奇跡が起こるのです!!
★☆★☆私はこの原稿の元をメーリングリストに投稿したのですが、メーリングリストのメンバーから
「無力で無価値なベルの呪いも解けたと思う」
と意見をもらいました。 そうそう、だからパートナーシップなんですよね。
(私はその部分がすっかり抜けていたのですが・・・)
野獣はベルに感謝の気持ちを伝えたでしょう。また、ベルも野獣に感謝の気持ちを伝えたとき、野獣は思いがけず自分も大好きな人の役に立てたことを心から嬉しく思うだろうなと感じました。(ああ、やっぱり野獣の立場で見てしまう。)☆★☆★
確かに野獣のプロセスは死んでしまいたくなるくらいにハードです。でも最後はハッピーエンド。物語ながらプロセスは完璧です。ハッピーエンドを迎えたときには、やっと今までの経験(あの魔女からの呪いさえも)が神様(?)からの贈り物だと感じられるようになるのでしょうね。
テーマの歌詞にも
”Bittersweet and strange, finding you can change,learning you were
wrong”
”ほろ苦いような変な感じだけど、あなたが誤解していたことがわかれば、あなたが変わることができることに気づくでしょう”
というメッセージがあります。
私たちも自己嫌悪を乗り越えて、少しでも楽に早く簡単に幸せになっていきたいものですね。
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